iPhoneバックドア問題 IT界は二分

ビル・ゲイツ氏はApple社の判断に否定的。論争の着地点はどこに?

FBI(アメリカ連邦捜査局)がApple社に対し、テロ事件の容疑者が使用していたiPhoneのロックを解除するよう求めた問題が発展し、アメリカで一大論争となっている。

昨年12月、カリフォルニア州で14人が死亡する銃乱射事件が発生した。実行犯の2人は警察との銃撃戦で殺害され、その後FBIはiPhoneを押収したが、ロックが掛けられていたため、Apple社に解除するよう要求。しかしApple社はこれを拒否した。というのも、iPhone内の保護データにはApple社でもアクセスできないようになっているからだ。そこでFBIは裁判所に判断を委ね、裁判所はApple社に暗号化のロックを解除する新たなソフトを作るよう命じた。

Apple社は、この司法要請をも拒否する姿勢を見せている。なぜなら、これが顧客のプライバシーを侵す“危険な前例”になりかねないものだからだ。Apple社のティム・クックCEOは2月16日(米現地時間)、この件についてのメッセージを公式HPで公開。「我々はテロリストをまったく支持していない」と立場を明確にしつつ、今回の要求を受け入れて“情報を見ることが可能なバックドアを組み込んだOS”を一度開発すると、政府によるバックドア利用の制限が保証されない状況下では、不特定多数のユーザーが監視される危険性がある、として拒否を貫く姿勢を示している。

この件は、アメリカでホットな話題となっている。2月17日には大統領候補のドナルド・トランプ氏が、「(Apple社は)何様だと思ってるんだ」と述べ、ビル・ゲイツ氏はNew York Times誌などでFBIは“特別なケース”での利用を前提としているため、「Apple社は捜査に協力するべき」との見解を述べている。一方、グーグル、ツイッター、フェイスブック各社は、いずれもApple社を支持する姿勢を表明。また、セキュリティーソフト「マカフィー」の開発者のジョン・マカフィー氏は、「無料で暗号を解読して解除してやる」と名乗り出ている。

iPhoneのセキュリティーに関する騒動ということで、日本でも注目が集まっているこの話題。Yahoo!では現在、「捜査協力でiPhoneのロック解除を要請、どう思う?」というアンケートが行われており、3万3000人以上が回答(24日12時時点)。「捜査に協力するため、ロック解除の要請に従うべき」が71.0%で、「プライバシーを保護するため、ロック解除の要請に従うべきでない」の29.0%を大きく上回っている。コメント欄を見ると、

「個人情報と言うが、公的な犯罪捜査に対する協力が、携帯の個人情報に勝るとは思えません」
「なんでもかんでも個人情
報を保護する必要はないと思う」
「プライバシー保護より犯罪捜査に協力する方を優先させるべきだと思う。
捜査に非協力な行為は間接的に犯罪に加担していると思うから」

という声がある一方で、

「犯罪捜査ためならいいかなと一瞬思ったが、一度これを譲ると絶対拡大するなと思い直した」(原文ママ)
「捜査当局がセキュリティー解除ツールを保持するのはありえない」

といった慎重な意見も。アメリカ発の論争ではあるが、テロを発端とするだけにいずれ日本での導入も議論されることになるかもしれない。
(金子則男)

【関連リンク】
■捜査協力でiPhoneのロック解除を要請、どう思う?-Yahoo!ニュース 意識調査
http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/22204/result
■CUSTMER LETTER-Apple
http://www.apple.com/customer-letter/

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