高さが正確にわかる「位置情報技術」が登場する!?

極低温状態の原子を封入したチップ。これを観測することで、高精度な位置情報の計測が可能となる
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運用が始まってから約四半世紀が過ぎ、今やGPSはわれわれの生活に欠かすことのできない技術となった。GPSでは地球を囲むように打ち上げられた31個の人工衛星が電波を発信しており、それをスマホなどの端末で受信している。衛星には時刻を精密に計測するための原子時計が組み込まれており、時刻情報と軌道情報を電波で送信。複数の衛星から同時に発信された電波が端末に届くまでの時間差から各衛星までの距離を算出し、現在位置を割り出しているのだという。

世界中どこにいても自分の居場所がわかるのがGPSの優れたところだが、緯度と経度は高い精度でわかるものの、立体的な垂直方向の位置(高度)は今まで正確に測ることが難しいとされてきた。そこで、近年ではこのGPSに代わる測位システムの開発が、世界中で進められている。

その研究成果のひとつが、新型の原子時計だ。英国国防科学技術研究所(以下、DSTL)は今年4月、レーザー光を利用したテーブルトップサイズの原子干渉計を発表した。原子干渉計とは原子を超低温状態に冷却することで、原子に働く様々な力を観測可能にするもの。高精度なジャイロスコープ(角度の測定器)などへの応用が期待されており、DSTLでも潜水艦における位置情報の測定といった防衛分野での活用のほか、地理測量や鉱物探査など民間での利用も想定しているという。

これと同じような研究は日本でも進められている。6月、科学技術振興機構(JST)は、東京大学大学院工学系研究科、理化学研究所と共同で、より高精度な原子時計「光格子時計」の小型化に関する研究成果を発表した。

東京大学大学院工学系研究科の香取秀俊教授の発表によると、光格子時計のような高精度な時計を利用すると、わずか1cmの高低差による重力の違いから発生する時間の遅れも検出できるようになるという。相対性理論ではより強い重力下にある場合や、高速で移動する場合には、時間が遅く流れるとされている。こうした加速度、上下運動による時間の遅れが計測できれば、観測者の移動方向を三次元でとらえられるだろう。これをもとに観測開始地点からの移動経路を割り出せば、現在位置が緯度・経度だけでなく、高度も把握できるような装置が実現するかもしれない。

ただし、電波を受信できればいいGPSとは異なり、原子干渉計を利用した測位システムでは、ユーザー自身も原子干渉計を持つ必要がある。残念ながら、スマホサイズまで縮小されるのはかなり先の話になりそうだが、車への搭載であれば近い将来に実物を見ることができるかもしれない。そうなれば、バッテリーの問題はあるものの、立体駐車場に車を止めたとして、それがどこにあるかをスマホと連携して、立体的に正確にマップ表示することも可能とかもしれない。
(丸田鉄平/HEW)

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