便利の裏側は…“人力アプリ”の運営事情

チラシ特売情報アプリ「チラシル」の打ち込みの様子。各スーパーの電子チラシや、紙のチラシをスキャンした画像をパソコンの大画面に映して入力!

名刺のデータが管理できるアプリや、家計簿アプリなど、実用系のアプリって便利ですよね。特に、自分で入力するのではなく、撮影するだけでデータを取り込んでくれるアプリは重宝している人が多いはず。だけど、“自動的”に読み取っているように見えるアプリのなかには、“人力”によってまかなわれているものもあるんです!

そのひとつが、「すごい名刺管理」AndroidiOS対応)。これはスマホのカメラで名刺を撮ると、「処理中」と表示が出て、数分後に住所や電話番号などをデジタル化したデータがアプリ内に登録されるというもの。その仕組みは、OCR(画像の文字データを読み取り、デジタル化する技術)と思いがちですが、実は撮影した名刺の画像がオペレーターへ送られ、「処理中」の間にデータをひとつひとつ手作業で入力しているんです!

また、「家計簿Dr.Wallet:無料レシート・口座明細取得が人気!」AndroidiOS対応)というアプリは、買い物のレシートを撮影するだけで商品の価格や買い物した店が入力され、家計簿が付けられる優れもの。これも同じく、撮影したレシートの画像データをオペレーターが目で見て入力しているのだそう。

どちらのアプリも24時間態勢でオペレーターが人力で入力しているらしい。それでも、名刺やレシートをスマホで撮影したら、数分でデータが届くのだからすごい!!

そして最近、“人力アプリ”として話題を集めているのが、スーパーやドラッグストアなどのチラシの情報をスマホでチェックできるチラシ特売情報アプリ「チラシル」AndroidiOS対応)。野菜や果物などカテゴリーごとに情報を見られたり、日替わりの特売品を一覧で価格を比較しながら見られる機能があったりと、見やすく情報がまとめられているのが特徴です。

でも、このアプリのどこが“人力”なの? 開発者のDeNA・北村淳さんに聞きました!

「このアプリは、首都圏のスーパーやドラッグストア約8000店舗のチラシを集めて、その価格や商品名をひとつひとつ手作業で入力しています。各店舗がホームページなどで公開している電子チラシや、新聞に折り込まれている紙のチラシをスキャンしたものをパソコンの画面で見ながら、チラシの端から順番に入力していくんです」

毎日のように出されるチラシを全部手作業で!? もう少し効率の良い方法はなかったんですか?

「そうですね(笑)。最初は、チラシの文字をスキャナーで読み取ってデータにする方法も考えたんですけど、チラシって店舗ごとにレイアウトが違うし、日替わりでお得な商品があったり、5個ぐらいの商品が並べられていて『この中からよりどり2点で200円』というパターンがあったり、とにかく情報が複雑なんです。だから、データ化するには人力でやるのが一番よかったんですよ」

でも、膨大にあるチラシを入力する作業は、気が遠くなりそう…。

「入力は、24時間態勢でシフトを組んでアルバイトさんにやってもらっているのですが、慣れると、200商品を1時間ほどで入力できるようになります。特に、チラシを普段から見慣れている主婦の方はかなり作業が早いですね。なかには、スーパーのチラシの入力をしながら『今日の夕飯は何にしよう』と考えている方もいるみたいです。単純作業なので大変ですけど、『このスーパーの卵は98円だけど、あのスーパーは96円なんだ』とスーパーの価格の比較ができるのはけっこう楽しいんですよ」

また、人力ならではのメリットもあるとか。

「チラシルでは、お得な商品をページの上部に持ってきたり、画像を大きくしたりして、優先順位をつけて掲載しているのですが、それはアルバイトの主婦の方の感覚に任せています。普段からスーパーで買い物をしている主婦の方は、1枚のチラシに載っている膨大な情報のなかから『本当にお得な商品』を見つけ出してくれます。これは、コンピューターではできないことですからね」

あらゆる情報がコンピューターによってデジタル化されている世の中で、マンパワーをフル活用する“人力アプリ”。その裏側は、奥深かった…!
(オカモト犬助/short cut)

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