元バイトを直撃!迷惑メール作成現場のリアル

「つられた男性の中には、特に会うことを要求せず、『チャットをしているだけで楽しい』という人もいました」(Tさん)

見覚えのないアドレスから送られてくる“迷惑メール”。一般女性を装った人物が「エッチなことに興味がある」と誘ってくるものから、有名人をかたるものまで、その内容はさまざま。しかし、この文章を考え送信してくるのはいったい誰なのだろう? 実際に迷惑メール作成のアルバイトをしていたという人を直撃した。

「新宿にあるビルの1フロアで、パソコンに向かい、もくもくとメールやチャットを送信していました。フロアにいたのは100人くらいでしたが、全員が送信業務を担当していたかは定かではありません」

こう話すのは、現在IT系会社に勤務するTさん(男性・29歳)。彼がバイトとして女性になりすまし、出会い系の迷惑メールを送っていたのは5年ほど前のこと。時給は1300円で、1時間に10~20通のメールやチャットを送信。給料は送信の数に関係なく、一律で支払われていたという。

Tさんの職場の場合、メール内に記載された出会い系サイトへ誘導し、そのサイト内でのチャットに必要なポイントを購入させることが目的。なので、いかに「この子と連絡を取りたい」と思わせるメールを送れるかが鍵だったのだそう。文章はどうやって考えられていたのだろう?

「『トレーナー』と呼ばれる人に、メールとチャットの文章の書き方を指導されました。コツは、わざとらしくない程度に相手に期待させるような話題を出し、“エロス”を醸し出すこと。サイト内のチャットでは、初めの数ターンは趣味などの世間話をし、その後、性的な話題に移ります。顔や胸、下半身などの写真を要求された場合は、あらかじめ用意されていた画像を送っていました」

このような画像以外にも、なりすますキャラクターごとに設定された名前や年齢、容姿の特徴などを管理するデータベースがあったという。

「キャラクターの設定データを前の人から引き継ぎ、それを見ながらチャットのやりとりをするんです。データベースには、年齢や趣味など基本的なプロフィールを入力する項目が30個ほどあり、会話の中で追加された細かな設定は別途テキストで記録していました。自分の退勤時間が来たら、また次のシフトの人に引き継ぐといった流れですね」

つまり、やりとりをしている“中の人”は、途中で入れ替わっている可能性があるということ。ちなみに、メールやチャットを送信しているのは男性ばかり?

「女性スタッフもいましたが、圧倒的に男性のほうが多かったですね。おそらく、このような『怪しいバイト』の募集には、女性は危険を考えてあまり応募しないのではないでしょうか」

なるほど…。しかし、サイト内でのチャットのやりとりがずっと続いた場合、最終的にはどうなるのだろう。男性側から「会いたい」など言われたりしないのだろうか?

もちろん実際に会うことはありません。どんなに『会おう』と言われても、はぐらかしてチャットを続けるだけ。そのうち、男性側から返信が来なくなり、終了。やりとりをどこまで引き延ばせるかが勝負になってくるわけです」

なかなか知ることがない迷惑メール作成の裏側。メールの内容を読んで心を惹かれても、うっかり連絡を取ったりなどしないよう、十分に注意が必要だ。

(田島里奈/ノオト)

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