セガ公式Twitter中の人「難しいリプライほど燃える」


ゲーム開発からアミューズメント施設の運営まで、幅広い事業を展開するセガグループ。その公式Twitterアカウント「セガ公式アカウント」(@SEGA_OFFICIAL)は27万超えのフォロワーを有する人気者。しかし、2012年10月の開設からアカウントを運営する「中の人」はメディアにあまり露出せず、性別・年齢非公開のミステリアスな存在である。どんな人物なのだろうか? そのキャラクターを掘り下げるべく、会いに行った。

●クソリプにも真摯に対応。「試されてる」と燃えてくる

企業公式アカウント同士のやりとりを漫画化した『シャープさんとタニタくん』にも登場する「セガ公式アカウント」。そこでの「セガさん」は、ややチャラいイケメンとして描かれている。しかし、取材場所の本社会議室にいたのはそのイメージとは真逆の上品な人物。ゲームより、バイオリンが似合いそうな雰囲気である。

だが、話を聞くうち、秘められた「ユニークな人柄」が明らかになっていった。

―― まず、「中の人」にアサインされた経緯を教えてください

「2012年に数人でSNSの運営チームを立ち上げました。でも、お客さまと対話をするなら『中の人』は1人がいいよね、ということで私が指名されたのです。『キミのFacebookおもしろいから、中の人やったら?』って。役員からのむちゃぶりがスタートでしたね」

―― 個人で積極的におもしろい投稿をしていたんですか?

「ネタっぽい何かを投稿していたわけではありませんが、読む人に面白いと感じてもらえることを書こうとは意識していました。もともと個人ブログをやっていて、ランキング上位だったこともあったので、読者を意識して発信するクセがついていたのだと思います。それがたまたま役員の目に留まったようですね」

―― セガさんの誠実かつ丁寧なリプライは評判です。いわゆるクソリプにも根気よく向き合う姿勢は“神対応”として評価されることも。

「広報業務も兼務なので、取材対応や会議のときには難しいですが、在席時は差別なく返信しようと決めています。じつは、難易度の高いリプライがくると“試されている”感じがして、ちょっとうれしいのです。そう言うといっぱい来ちゃうかな……。でも、どんな球が来ても何とか返そうと。ネタっぽいリプライなら、その上を行く“しょうもない返し”をしようと燃えますし、たまに、挑発的なものも来ますが、相手方のタイムラインを遡って心情に寄り添ったうえで冷静に返信します。そうすると、意外と『変なリプライをしてすみません』みたいなリアクションが返ってきたりもする」

―― じつは意外といいやつだったり。

「そうですね。それに、絡んできていただけるのは弊社を気にかけていただいている証。何か想いがあると思うので、対応はおざなりにしたくないです」

●その正体は……オタク気質のインターネット大好きっ子

―― セガでは『ラブライブ!』などアニメとのコラボにも積極的です。キャンペーン時はいっそう張り切ってツイートしているように見受けられますが、アニメやマンガが好きなんですか?

「セガの社風で、“キャンペーンをやるなら担当者はみんな『ラブライブ!』を見ておこう!”という文化は浸透しています。ただ、私自身はもともと子どもの頃から少年漫画が好きで、特に『北斗の拳』や『魁!!男塾』、『ジョジョ』にハマっていました」

―― (見た目の印象から)少女漫画かと思ったら、ゴリゴリの少年漫画なんですね。

「好きなんです、一緒に育ってきた感じがあります。最近だと『キングダム』が好きですね」

―― ほかに好きなものは?

「大喜利ですね。Twitter上でもしょっちゅう『セガ大喜利』を開催していますし、謎かけや回文を考えるのも好き。特に、高校生の時は『公募ガイド』という本でエッセイや大喜利の懸賞を探して、応募しまくっていました」

―― ずいぶんマニアックなところを狙いますね。

「ライバルが少ないし、入選すると賞金ももらえるので。……この話、長くてディープですけど、続けていいですか?」

―― ディープなほうがいいです。

「私、もともとパソコンオタクだったんです。高校生の時にパソコン通信をやりたくて、バイトを頑張ってワープロを買い、それを電話回線でダイアルアップ接続して……本当にインターネットの黎明期ですね。全国の人と繋がって会話ができることに未来を感じ、ハマっていきました。

でも、電話代が恐ろしいことになって……1カ月10万円とか。電話代を稼ぐために必死でバイトしたんですけど、それでも7~8万円が限界で」

―― バイトの動機がパソコン通信というのはなかなかマイノリティな青春ですね。

「高校入学時から、周りから浮いているかも……という気はしていたんですよね。周りは楽しそうに街へ繰り出しているのに、ひとりマンガをカバンいっぱいに詰め込んで、休み時間もそれを読んでは空想ばかり。いじめなどはなかったものの、『なんか変わってるよね』と思われていた。それもあり、好きなものについてとことん語れる場所を求めていました」

―― それで、バイトで補えない分を懸賞で。

「高校生限定の公募とか、競争率が低いニッチな賞を狙って応募していました。童話や短編小説を書いて、最大で10万円もらったこともありますね」

―― もともと投稿の素地があったわけですね。それが今の「中の人」の仕事につながっている。

「たまたまですけどね。特に昔はオタクが大手をふって歩ける時代じゃなかったので、黒歴史だと思っていましたし……。入社面接の時も一切伏せて全く違う職種で潜り込みました(笑)。入社後も特に人に言う機会もなく」

―― でも、結局「中の人」に任命されたのは、そういう人だと薄々バレてたんですかね?

「いや、バレてないはず……。でも、結果的に当時のスキルが今に生かされている。リプ返しもタイピング速いと有利ですしね。入社すぐの頃に『タイピングが速い会社員』としてテレビに出たこともありました。当時は家にパソコンがないのが当たり前だったのに、入社直後からダーって打てるから注目されちゃって……」

―― それは疑われるでしょう?

「“練習しました”とごまかしました。きっと隠せているはず。そもそも、今も私が“中の人”だということは、社内の人もほぼ知らないと思います。今は社長室にいて他部署と別フロアですし」

―― 社長の隣でクソリプに返信しているわけですね。

「社長は知らないと思います」

―― いや、たぶんバレてますよ。

(榎並紀行/やじろべえ)

【関連リンク】
「セガ公式アカウント」(@SEGA_OFFICIAL)| Twitter
https://twitter.com/sega_official

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