歩きスマホで50万円以下の罰金になることも!?



普段、何気なく使用しているスマホ。便利な反面、使い方次第では知らず知らずのうちに「犯罪行為」に手を染めてしまうこともあるようだ。そこで、日常的なスマホの利用が犯罪につながってしまう可能性について、アディーレ法律事務所に聞いた。

今回のテーマは「歩きスマホで傷害罪は適用されるか」。「歩きスマホ」をしている時に他人とぶつかり、相手に怪我を負わせてしまう可能性はゼロではない。その場合、どのような罪が考えられるのだろうか?

●過失傷害罪で50万円以下の罰金

「『過失傷害罪』もしくは『過失致死罪』が適用される可能性があります。そもそも、傷害罪は“故意に人に傷害を与えた場合”に成立する罪なので、歩きスマホによる不注意での事故は刑法290条1項により『過失傷害罪』になります。これは30万円以下の罰金が科せられる場合があります。また、相手が死亡してしまった場合は刑法210条の定めにより『過失致死罪』が適用され、50万円以下の罰金が科せられます」(吉岡一誠弁護士、以下同)

「過失」がつくこれらの犯罪は、予測できたにもかかわらず不注意で相手に怪我などをさせてしまった場合に適用される。ちなみに、自分がぶつかった相手が、さらに違う人や車にぶつかって怪我をした場合も、歩きスマホとの因果関係が認められる限り、同様の犯罪が成立するという。

●悪質な「自転車スマホ」、5年以下の懲役も!?

気になるのは、実際に科せられる量刑についてだが、その行為がどの程度“悪質”であったかどうかが、一つの考慮要素となる。具体的には「過失」の度合いが重要とのことだ。

「たとえば、歩きスマホより悪質な行為として『自転車スマホ』が挙げられます。そもそも自転車に乗りながらスマホを扱っている時点で、道路交通法違反(第71条6号)。それに加え、歩きスマホよりも事故の可能性が大きく『過失』の度合いも高いということで、過失傷害罪より責任が重い『重過失致死傷罪』が適用される可能性があります。刑法211条後段に定めがあり、“5年以下の懲役か禁固”または“100万円以下の罰金”が科せられることになります。過去には自転車の運転上の過失により被害者が死亡した事件で、禁固2年の実刑判決が下ったケースもあります」

●刑罰観点でも過失が重い「駅ホームでの歩きスマホ」

また、たとえばこんなケースでも、場合によっては重過失致死傷罪が適用されてしまうかもしれないという。

「駅のホームすれすれを歩きながらスマホをしていて人とぶつかり、線路に突き落としてしまった場合。ホームという危険な場所での歩きスマホもさることながら、たとえばイヤホンで音楽を聴いていた場合などは、より過失が高いとみなされます。事故が起こりやすい場所で、しかも聴力を遮断している状態となれば、リスクが高まることが事前に予測できるはずですので」

なお、こうしたリスクは加害者に限ったことではない。歩きスマホをしている際に自分が交通事故の被害に遭ってしまったケースでも、裁判で厳しい判決が下ることがあるようだ。

「民事上の話ですが、歩きスマホで赤信号を渡り車にひかれて被害者になった場合、十分に損害賠償を受けられない可能性もあるんです。基本的には加害者が被害者に賠償しなければならないのですが、被害者の方にも過失があるケースでは賠償額が減殺されます。仮に亡くなってしまった場合も、70%以上減殺される可能性があります」

自分は気をつけているつもりでも、どこに危険が潜んでいるかはわからない。歩きスマホがクセになってしまっている人は、もしもの時の代償について、改めて考えてみるべきだろう。

(小野洋平/やじろべえ)

【取材協力・関連リンク】
・アディーレ法律事務所
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