【インド人に聞く】決済アプリ利用者が急増の理由



世界2位の人口数を誇るインドは、中国に次ぐ、世界2位のスマホ市場になると予想されている(※1)。そのため、今年2月、米アップルは、今年度前半にインドでiPhoneの生産に乗り出すと発表。インドでは、iPhoneのシェアが低く、米アップルも市場進出に積極的だ。

さらに、App Annieが昨年6月に発表した「急成長を続けるインドの小売アプリ市場」によると、2014~16年の2年間でインドのモバイルアプリのダウンロード数とアプリ利用時間が倍増しており、アプリ市場も好調の様子。

これだけスマホ大国として世界から注目を集めているインド。多宗教・多民族国家で、IT産業が発達しているというイメージはあるものの、実際、スマホがどのように利用されているのか気になるところ。そこで、インド人のエンジニア、ロイットさん(23歳、男性、日本在住1年半)にインドのスマホ事情を聞いた。



■インドのメッセージアプリは「WhatsApp」が主流

ロイットさんが「最も利用するアプリ」に挙げたのは、アメリカで誕生した世界最大のメッセージアプリ「WhatsApp」。インドでは主流だそうで、実際、インド国内アプリダウンロード数(※2)でもトップの座にいるという。

また、日本の総務省発表の「新興国でのICT利活用の高度化」(平成27年版 情報通信白書)でも、2014年時点で、インドのメッセージアプリ利用者のうち、半数が「WhatsApp」を利用しているとされている。

ロイットさんは、「Facebook Messenger」も頻繁に利用するそうだが、日本人の友人とのやりとりには「LINE」を、別の友人とは、ロシア発のメッセージアプリ「Telegram」も利用しているとか。

■突然の紙幣廃止により決済アプリの利用者急増

インドでは、自国発のタクシー配車アプリ「Ora Cabs」や、自社メニューを提供している宅配アプリ「FAASOS」、レストランの検索・宅配アプリ「Zomato」、モバイル決済アプリ「Paytm」なども人気だそうだが、特に、「Paytm」の利用者は急増しているそう。

その理由は、昨年11月、インドで汚職や不正所得、偽造紙幣等の防止のため、突然、500ルピー札と1000ルピー札といった高額紙幣が廃止されたから。その危機を救ったのが、紙幣がなくてもモバイル決済が可能な「Paytm」だったそう。

「インドでは、クレジットカードよりも、決済アプリを利用できる店の方が多いから便利。それに、アプリにはキャッシュバックやディスカウントのサービスもあるのでお得です」(ロイットさん)

また、紙幣の廃止と同時に、ATMからの引き落としが1日2000ルピーまでに制限される事態にもなったが、「決済アプリなら引き落としをする必要も、制限を気にすることなく簡単に支払える」と、その利便性を教えてくれた。



■インドでは安くてモデルの多いSamsungが人気

冒頭の「iPhone」についてロイットさんは、「Samsungの方がモデルも多く、安いから人気」とのこと。中国の「Xiaomi」やインドの「Micromax」といったメーカーも人気が高いそう。また、ロイットさんいわく、インドでは、「学生はプリペイド式(先払い)、社会人はポストペイド式(後払い)」でスマホを持つ人が多いのだとか。

インドと日本のスマホ文化の違いについては、「日本のスマホのカメラはシャッター音が大きすぎる。そのせいで使用頻度が減った」と嘆くロイットさん。インドでは無音にしたり、音を変えられるのが当たり前だそう。また、日本に来てからは、「ICカードを入れられるタイプが便利」と、スマホカバーも使い始めたそう。

iPhoneの市場拡大や、高額紙幣廃止による決済アプリ利用の急増など、これからますます変化していきそうなインドのスマホ・アプリ事情。特に、モバイル決済が今後、どれだけ浸透し、展開していくのか気になるところだ。

(赤木一之/H14)

※1.STRATEGY ANALYTICS「India Will Overtake US to Become World’s Second Largest Smartphone Market by 2017」(2015年7月1日)

※2. 2017年2月7日付、「App Annie」iPhone Overall部門調べ(すべてiOSでのDL数)

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